要介護認定を受けなくても介護保険のサービスに入る道が一本あります。市町村か地域包括支援センターの窓口で基本チェックリストを受け、事業対象者に該当すれば、総合事業の訪問型・通所型サービスを使えます。対象は65歳以上の第1号被保険者だけ。訪問看護や福祉用具貸与が要るなら要支援認定の申請です。

認定の省略が書かれているのは、総合事業の中だけ

厚生労働省の介護予防・日常生活支援総合事業のガイドラインは、平成27年6月5日の老発0605第5号で示されました。最終改正は令和8年8月20日の老発0820第2号です。認定を経ない利用の形は、その対象者の節に置かれています。

予防給付である介護予防訪問看護や介護予防福祉用具貸与等のサービスを利用する場合については要支援認定を受ける必要があるが、サービス・活動事業のみを利用する場合には、要支援認定を受けず、上記の簡便な形でのサービス利用が可能となる。

サービス・活動事業は介護保険法115条の45第1項1号の第1号事業のことで、中身は4つに分かれます。掃除や洗濯といった日常生活上の支援を届ける訪問型サービス、機能訓練や集いの場を用意する通所型サービス。栄養改善を目的とした配食や一人暮らしの見守りを行うその他生活支援サービスと、介護予防ケアマネジメント。ここに入らないものは対象外です。訪問看護も福祉用具貸与も予防給付の側にあるため、必要になった時点で要支援認定の申請が要ります。

呼び名が資料によって違う点だけ先に触れておきます。2015年に厚生労働省老健局振興課が出した総合事業の解説資料は、この枠を介護予防・生活支援サービス事業と書きました。現行のガイドラインは同じものをサービス・活動事業と呼びます。自治体のページや古い解説で前者の名前に出会っても、指しているものは変わりません。

基本チェックリストは25問、該当を決めるのは窓口の側

基本チェックリストは、介護保険法施行規則140条の62の4第2号に基づく平成27年厚生労働省告示第197号の様式第一です。質問は25問。バスや電車で1人で外出しているか、日用品の買物をしているか、預貯金の出し入れをしているか。生活の様子をはい・いいえで答えていく形で、身長と体重を書く欄があり、BMIが18.5未満なら該当として扱われます。該当かどうかの基準もこの告示が定めていて、そこに当たれば事業対象者になります。

点数を自分で数えて結論を出す書類ではありません。ガイドラインは、市町村または地域包括支援センターがサービスの利用相談に来た被保険者に対して「対面で基本チェックリストを用い、相談を受け」ると書いています。用紙を一律に配る運用は想定されていません。地域のネットワークで支援が必要な高齢者を早期に見つける方式が示されていて、一律配布によらないことが明記されました。

使えるのは第1号被保険者、つまり65歳以上に限られます。40歳から64歳の第2号被保険者は、がんや関節リウマチなどの特定疾病に起因して要介護状態等となることがサービス利用の前提です。この層は基本チェックリストではなく要介護認定等の申請を行うと定められています。選択の余地はありません。

一度受けて該当しなかったとしても、受け直せます。厚生労働省の通知は、状態の確認を複数回実施できるとしたうえで、その場合は一番直近の実施結果に基づくと書いています。要支援認定の有効期間が終わる時期など、最新の状態を把握したい場面では再度の実施を求める書き方です。

暫定ケアプランと並行しては使えない

認定の結果を待つ間にサービスを組む運用は暫定ケアプランと呼ばれます。介護保険法27条8項の遡及効を前提にした組み立てで、その構造は認定を待つ間の遡及効で扱いました。基本チェックリストの道とは別の経路です。

ガイドラインは両者の関係を1行で切っています。要介護認定のいわゆる暫定ケアプランによる介護給付サービスを利用している場合は、並行してサービス・活動事業を利用することはできない、と。

重なる部分では、どちらか一方しか選べません。

順番を入れ替えれば組み合わせは成立します。要介護認定等の申請とあわせて基本チェックリストを実施し、事業対象者の基準に該当すれば、介護予防ケアマネジメントを経てサービス・活動事業を先に使えます。その後に要介護1以上の認定が出ても、介護給付のサービスを使い始めるまでは事業対象者として扱われます。認定を受けたこと自体では、総合事業の利用は止まりません。

非該当になったとき、費用の扱いが道によって分かれる

認定を申請して非該当だった場合、待つ間に使ったサービスの費用がどうなるかは、どちらのサービスを使っていたかで変わります。ガイドラインは認定結果の3区分ごとに整理しました。

認定の結果 介護(予防)給付のサービスを使っていた場合 総合事業のサービスだけを使っていた場合
非該当(事業対象者) 全額自己負担 第1号事業支給費から支給
要支援 予防給付より支給 第1号事業支給費から支給
要介護 介護給付より支給 介護給付サービスの利用を開始するまでの提供分は第1号事業支給費から支給

非該当の行が、この道を選ぶ意味のいちばん濃いところです。給付のサービスを使っていれば全額が自己負担になり、総合事業のサービスだけなら第1号事業支給費から支給されます。ただし表には前提が付いていて、それぞれの指定を受けていることが条件です。

負担の割合は市町村が決めます。従前相当サービスの利用者負担は、介護給付の負担割合を勘案して市町村が定めます。原則1割で、一定以上の所得があれば2割または3割。その割合が下限になります。住民主体の支援のように補助の形で行われるものは、提供主体が定めることもあります。金額はお住まいの市町村の実施要綱を見ないと出てきません。

使える量にも目安が置かれています。事業対象者の給付管理は、予防給付の要支援1の区分支給限度基準額を目安に行うとされています。退院直後で集中的に使うようなケースでは、要支援2の限度基準額を限度として、市町村が実施要綱で定める額の範囲内まで広げられる書き方です。最初から要支援2を超える量を見込む状況なら、認定の側から入るほうが合います。

窓口へ行く前に決まるのは、どのサービスが要るか

順番を決めるのは、必要なサービスがどれかという一点です。掃除や洗濯、通所での機能訓練や集いの場で足りるなら、基本チェックリストの道は認定の結果を待たずに始められます。福祉用具の貸与や訪問看護が視野に入っているなら、はじめから要支援認定の申請に回るほうが手数は少なくなります。

サービスの中身と料金は市町村が決めます。総合事業は市町村の裁量を広く取る設計になっているので、隣の市と同じとは限りません。窓口は市区町村の介護保険担当課と地域包括支援センターで、基本チェックリストもそこで受けます。

制度の側とは別に、先に進められることもあります。親の口座と保険がどこにあるかは、認定を待つかどうかと関係なく整理を始められる情報で、集める順番は親のお金の把握にまとめました。離れて暮らしていて日々の様子が分からない段階なら、見守りサービスの4類型が制度の外側の手当てになります。

手続きそのものにも時間が要ります。勤務先へ申し出て体制を組む期間として置かれているのが介護休業の93日で、窓口でのやり取りはその内側に収まる設計です。

当サイトは弁護士・司法書士・税理士等の有資格者による監修を受けていません。制度の解釈や個別の適否の助言は行わず、公表資料から読み取れる内容と確認した日付を並べるところまでを書いています。実際に使えるサービスと負担額は市町村ごとに違うため、市区町村の介護保険担当課と地域包括支援センターでご確認ください。

制度の内容は厚生労働省「介護予防・日常生活支援総合事業のガイドライン」(老発0605第5号・最終改正 老発0820第2号)によります。基本チェックリストの様式は「地域支援事業実施要綱」別添1、複数回の実施は老振発0703第1号・老老発0703第1号。事業の考え方は老健局振興課「介護予防・日常生活支援総合事業の基本的な考え方」。いずれも2026年9月8日に確認しました。