成年後見制度を見直す「民法等の一部を改正する法律」が2026年6月17日に成立し、6月24日に公布されました(法務省公表・2026年8月17日確認)。後見・保佐を廃止して補助に一元化する改正で、遺言制度にも保管証書遺言の創設など大きな変更が入ります。施行は内容ごとに3段階です。この記事では法務省の公表内容を、原文の表現に沿って時系列で整理します。

何が決まったのか

法務省の公表によると、今回の改正は大きく2本柱です。ひとつは成年後見制度について「後見及び保佐の制度を廃止して補助の制度に一元化して本人にとって必要な範囲でその利用を可能と」するもの。もうひとつは遺言制度について「電子データ等で作成し、法務局において保管する保管証書遺言を創設する」ものです(いずれも法務省サイトの記載・2026年8月17日確認)。

後見・保佐・補助の「一元化」とは

現行の成年後見制度には、本人の判断能力の程度に応じて後見・保佐・補助の3つの類型があります。改正後はこのうち後見と保佐が廃止され、補助に一元化されます。ポイントは「本人にとって必要な範囲で」という表現で、判断能力が下がると包括的な後見に固定される現行の形から、必要な範囲を選んで使うオーダーメイドの方向へ変わる、というのが公表資料から読める設計です。

正直に書くと、実際の運用がどうなるかは施行までに定められる政省令や運用の詳細を待たないと分かりません。この記事の時点で言えるのは「制度の骨格がこの方向で確定した」ところまでです。

遺言はどう変わる

遺言制度の改正は2つの時期に分かれています。押印の任意化などが先行し、その後に「保管証書遺言」— 電子データ等で作成して法務局が保管する新しい方式 — が創設されます。なお、手書きの遺言書を法務局が預かる現行の自筆証書遺言書保管制度(手数料は1件3,900円)はすでに運用されており、新方式はその先にある電子対応という位置づけで読めます(手数料は法務省の手数料一覧・2026年8月17日確認)。

いつから変わるのか — 施行は3段階

改正内容施行の定め(原文)期限の上限(公布日2026年6月24日から計算)
遺言の押印任意化など公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日2027年6月24日まで
成年後見制度の見直し(補助への一元化)公布の日から起算して2年6月を超えない範囲内において政令で定める日2028年12月24日まで
保管証書遺言の創設など公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日2029年6月24日まで

「政令で定める日」なので、実際の施行日は今後の政令で確定します。表の右列は法律上の上限を機械的に計算したもので、実施行日はこれより早い可能性があります。

いま慌てて動く必要があるか

施行までは現行制度がそのまま適用されます。「制度が変わるから急いで後見や信託の契約を」という話の順序は逆で、変わる方向が確定しているからこそ、施行後の姿を見てから決められる余地が広がった、というのが今回の改正の読み方です。一方で、家族の側で先にできること — 親の口座や保険の所在の把握 — は制度と無関係にいつでも始められます。その整理は親のお金の把握チェックリストにまとめました。見守りの仕組みづくりは見守りサービスの4類型が入口です。

個別のご家庭で後見・信託・遺言のどれをどう使うかは、事情によって答えが変わる領域です。具体的な判断は弁護士・司法書士・税理士などの専門家や、法務局・自治体の窓口で確認してください。当サイトの数値と情報の扱い方は運営者情報のとおりです。

改正の内容・施行の定めは法務省「『民法等の一部を改正する法律』(成年後見及び遺言の制度の見直し)について」、保管制度の手数料は法務省の自筆証書遺言書保管制度の手数料一覧で、いずれも2026年8月17日に確認した公表内容です。